
トリンテリックスはS-RIMと呼ばれる新規抗うつ薬で、抑うつ症状や不安症状の改善を始め、ストレスの緩和、意欲向上への効果も期待されている薬です。
副作用や離脱症状が少なく使いやすいと言われていますが、ネットでは「やばい薬」という噂もあるようで…
実際のところトリンテリックスは問題アリなのでしょうか?気になるリスクや対策についてまとめました!
トリンテリックスはやばいと言われる理由は副作用にあり
実際にトリンテリックスを使用した方の口コミや体験談を見ると、ネガティブな意見は主に以下の3つでした。
- 吐き気が止まらない、つわりに似た気持ち悪さ
- 体重が増えた、太る
- 睡眠障害の症状が出て眠れない
では、この3つの副作用の実際のリスクについてみていきましょう。
①吐き気が止まらない、つわりに似た気持ち悪さ


ドンペリドンで太刀打ちできるレベルの吐き気なのかな…嘔吐恐怖持ちに副作用吐き気はだめなのよ……
いっつも先生この手の薬出すときに「使い始めの2〜3日ちょっと気持ち悪くなるかも」しか言わない。嘔吐恐怖持ちなんだからこんなにやばいなら言ってくれ〜

トリンテリックスは従来の抗うつ薬に比べて副作用が軽減されているものの、一番多い副作用が「悪心」です。
トリンテリックスの有効成分ボルチオキセチンは脳のセロトニン受容体に作用することでうつ症状や不安症状を和らげる働きがあります。と当時にセロトニン受容体は胃や腸も存在するため吐き気の副作用が出てしまうんですね。
臨床試験では1050例中200例(19.0%)に悪心の症状が確認されており、確かに吐き気や気持ち悪さを感じるケースは少なくないようです。
ただし、この症状は体が慣れることで軽減していくことがほとんど。辛いですが少しずつ吐き気は落ち着いていきます。
対策としては…
- 飲み初めの1~2週間は我慢する
- 低用量の5mgから飲み始める
- 制吐剤を併用する
- どうしても副作用が我慢できなければ他の抗うつ薬に切り替える
基本的に抗うつ薬は飲み初めに何らかの副作用が出やすいので、まずは続けてみましょう。
吐き気止めを使用しても耐えられないようであれば他の薬を検討しても良いかもしれません。
②体重が増えた、太る

爆食もしてないし🥲

これでもまだマシな方なのか
…と体重増加の影響を感じる方もいるようです。
ただし、「体重増加」は1050例中9例(0.9%)、「食欲亢進」は2例(0.2%)なので特別太りやすい薬というわけではありません。
トリンテリックスは飲み初めの吐き気で食欲が落ちる場合があります。その後体が慣れると食欲が回復し体重が増えることはあり得ますが、薬そのもので太る可能性は低いと考えて良いでしょう。
万が一太ることが気になる場合の対策としては…
- 食事の量を見直す
- 運動を取り入れる
- 薬の量を減らす
- どうしても体重増加が気になるようであれば他の抗うつ薬に切り替える
うつ病やうつ症状が改善されていけば食欲が増えて太ることは自然な流れです。安易に薬を変えるのではなく、食生活や生活習慣から見直すほうが良いでしょう。
眠れない

あまりに眠れないので量を元に戻すことにした。
薬の調整はホント難しいなぁ。
さて、明日は出かけなくちゃいけないから早めに寝よう💤
一日中☔️だとツラいな~。
頑張れ自分!負けるな私!!✊
٩(ˊᗜˋ*)وファイトー!!
逆に眠くなるという人もいて…

1日1回服用で良い薬ですが、様子を見てダメそうなら2回に分けてみようかなーと思います。
それ以外は本当に良い薬なのでどうにか眠気が軽減されれば…
トリンテリックスが脳内のセロトニン濃度を上昇させ抗うつ作用・抗不安作用をもたらす結果として不眠や眠気の副作用が出る場合があります。
不眠症は1050例中13件(1.2%)、初期不眠症は3件(0.3%)、睡眠障害は3件(0.3%)と睡眠に関する副作用は比較的少なめです。
ちなみに「眠れない」と「眠くなる」は真逆の症状ですが、これは体質に左右されるため使ってみないと分かりません。
対策としては…
- 眠れない→朝に服用する
- 眠気が出る→夕方~就寝前に服用する
服用のタイミングを工夫することで改善が期待できます。
死亡リスクは…?
死亡リスクを心配する声もありましたが、実は国内の試験では死亡例が確認されています。
転帰が死亡であった症例は 20mg 群でみられた以下の 2 例であった。
・くも膜下出血 1 例(本剤との関連は否定された)
・脳出血 1 例(本剤との関連は否定されなかった)
引用元:https://www.takedamed.com/mcm/medicine/download.jsp?id=1230&type=INTERVIEW_FORM
脳出血の死亡例は、トリンテリックスとの明確な関連があるかどうかまでは分かっていません。
ただし、念のため出血傾向がある方は避けたほうが良いとされていますが、
日本国内でもよく処方される薬ですし、用法・用量を守って服用する分には過度な心配はいらないかと思います。
トリンテリックスを使うメリットは多い
ここまでネガティブな情報もありましたが、もちろんメリットもあります。
- 2週間で効果が出始める
- 他の抗うつ薬とは別のメカニズムで作用し、複合的に抗うつ作用を発揮する
- 認知機能改善が期待されている
2週間で効果が出始める
トリンテリックスは従来のセロトニン再取り込み阻害作用に加え、セロトニン受容体調節作用という新たな働きが加わっています。
そのため、他の抗うつ薬よりも早めの2週間ほどで症状が改善しはじめるとされています。
ただ、データが少ない現在はあくまで理論上考えられるというレベルにとどまります。
複合的にアプローチ
前述の通り、トリンテリックスは脳内のセロトニンの再取り込みを阻害することに加えて、セロトニンの受容体を調節することでうつ病やうつ状態を改善します。
- セロトニン:感情や気分のコントロール
- ノルアドレナリン:ストレス制御
- ドパミン:意欲
- アセチルコリン:思考、学習、記憶
- ヒスタミン:ホルモン分泌や睡眠
いろいろな部分からアプローチするため、他の抗うつ薬ではカバーしきれない部分にも手が届くイメージです。
認知機能改善が期待されている
間接的にアセチルコリンという記憶に関する物質を増やす作用があることから、「見聞きしたものがうまく頭に入ってこない」「すぐに忘れてしまう」といった認知機能の改善にも効果があるのでは?と期待されています。
ただ、これもあくまで一部の報告で確認されているだけなので今後の研究に期待ですね。
トリンテリックスの海外版「フォンクセラ」
うつ病やうつ状態の改善だけでなく、不安障害やストレスの緩和、認知機能の回復にも効果が期待される新規抗うつ薬です。
有効成分ボルチオキセチンが脳内のセロトニンの再取り込みを阻害することに加えて、セロトニンの受容体を調節することでうつ病やうつ状態を改善します。
副作用や離脱症状が少なく、既存の薬で効果を実感できなかった方でも改善が望めます。
日本を始め世界50か国以上に拠点を持つデンマークの大手製薬会社ルベンドック社が製造しています。
ジェネリック医薬品・ボルティレイ
先発薬と同じ有効成分ボルチオキセチンを含みます。
インドのアイコンライフサイエンス社が手掛ける低価格なジェネリックなので効果はそのままにコストが抑えられています。
世界で最も厳しいとされるcGMPに準拠し製造されているため品質はご安心ください。
うつ病治療の新しい選択肢として期待大
トリンテリックスは、ネットで言われているほどやばい薬ではなく、従来の抗うつ薬と比べても副作用や依存性が少なく安全性の高い薬と言えそうです。
トリンテリックスは日本では2019年に発売された新しい抗うつ薬ですが、年々使用が増えてきているようで他の抗うつ薬が効かなかった場合の選択肢として期待されています。
今使っている抗うつ薬が効かない…と悩んでいる方は検討してみてくださいね。