乳がん治療の脱毛にリアップリジェンヌ(ミノキシジル)は効果があるか

乳がん治療の脱毛にリアップリジェンヌ(ミノキシジル)は効果があるか

乳がんは世界的にも女性に最も多いがんで実に成人女性の10%ほどが罹患するとも言われる身近な病です。

治療の進歩により生存率は高くなったものの治療による脱毛・薄毛は改善が軽視されがちでQOL低下が問題視されていますね。

そこで有効成分ミノキシジルを含むリアップリジェンヌに注目される方も多いようですが、果たして効果はあるものなのでしょうか…?

そもそも使用しても大丈夫なもの?

乳がん患者の発毛目的でミノキシジルは使用できる?

リアップリジェンヌに含まれる有効成分のミノキシジルは日本で唯一の発毛薬で厚生労働省にも認可される安全性の高い成分です。

このミノキシジルは以下の2つの作用により発毛を実現します。

  • 細胞を活性化
    毛乳頭細胞や毛母細胞を活性化する作用があり、休止期の毛包を成長期へと移行させる
  • 血流の改善
    強力な血管拡張作用があり、これにより血流が改善。頭皮から毛髪へ酸素や栄養がより届けられる

しかし、リアップリジェンヌは薬局・ドラッグストアでも購入できるとはいえ薬は薬。

作用もあれば副作用もあるものなので「そもそも乳がん患者に使用して良いものなのか?」という点が気になる方も多いでしょう。

結論から言うと、すでに海外では乳がん生存者に対する発毛研究が進んでいて実験段階ながらも現時点では

「幸いなことに、ミノキシジルは乳がん生存者にとって安全であると考えられています。」

引用元:https://www.the-dermatologist.com/news/minoxidil-may-help-endocrine-therapy-induced-alopecia-breast-cancer-patients

ミノキシジル使用の唯一の欠点は「まれに頭皮の炎症が起きることと塗布に時間がかかること」

引用元:https://www.the-dermatologist.com/news/minoxidil-may-help-endocrine-therapy-induced-alopecia-breast-cancer-patients

と安全性は高いものと考えられています。特にリアップリジェンヌなどの国内の女性向けミノキシジル薬は良くも悪くも濃度が薄いので、より安全に使用できるでしょう。

肝心の発毛効果はあるのか

では、安全性がわかったところで次に気になるのは肝心のリアップリジェンヌの発毛効果はどの程度期待できるのか…?

同研究では誘発された脱毛症に対して

  • 内分泌療法を受けた乳がん患者46人にミノキシジル薬(5%)を塗布した結果、8割にあたる37人で中等度から有意な改善が見られました
  • 細胞毒性化学療法を受けた乳がん患者22人を対象とした試験ではミノキシジル薬(2%)を塗布したところ脱毛症の期間が50日短縮された

など、まだ事例が少なくより多くの臨床試験が必要そうではありますがミノキシジルの使用が患者の80%で効果を及ぼすなどその有効性が示されています。

アメリカ国立衛生研究所の国立医学図書館のデータではその効果が写真付きでも紹介されていて

ミノキシジルによる治療前

乳がん患者のミノキシジルによる治療前頭皮

ミノキシジルによる治療後(6ヶ月後)

乳がん患者のミノキシジルによる治療後頭皮

かなり顕著な効果が現れているのがわかります。

ミノキシジルは数年に渡り使い続けることでさらに高い発毛効果を発揮するので、ここから改善できることを考えると発毛の期待度は高いとかなり言えそうですね。

ただし、実験で使われているのはいずれも2~5%のミノキシジル薬でリアップリジェンヌは1%。効果としてはどうしてもマイルドにならざるを得ないので、より大きな効果を得たい場合は有効成分量の多い製品が必要となりそうです。

女性用リアップの2倍・ヘアフォーユー

ヘアフォーユー(HAIR4U)2%60ml(女性用育毛外用薬)

こちらは女性用のヘアフォーユーで、同じくスプレータイプのミノキシジル薬です。

女性用リアップの2倍のミノキシジルにより毛乳頭細胞や毛母細胞を活性化、より高い発毛効果をもたらします。

なお、女性の場合プロペシア(シルデナフィル)は服用できませんのでご注意ください。

ただし、脱毛に対する予防効果はない

しかし、ミノキシジルも万能薬というわけではなく、残念ながらがん治療薬による脱毛に対しては効果がありません

これはすでにいくつかの研究でも明らかになっていて

ミノキシジル治療を完了した6人の患者のうち、5人は頭皮全体で「完全または重度の」脱毛を経験しました。要するにミノキシジルは「化学療法誘発性脱毛症の予防に何の利益も示さなかった」のです。

24人の女性のがん患者に2%ミノキシジル薬を提供、残り24人にプラセボを提供したところ、両方のグループの患者88~92%でミノキシジル治療に関係なく重度の脱毛症が見られた。

と、効果があるのはあくまで治療終了後の状態であり、治療中からあえて使う意味はないと言えそうです。

脱毛に有効なのは冷却と圧迫

ただし、脱毛に有効な治療がないわけではなく保険適応外になりますが現在日本でも化学療法用コールドキャップが期待を集めています。

これは0度付近まで温度が下げられる特殊なキャップで頭皮を冷やし、血管を縮めてしまうことで髪や頭皮が抗がん剤の影響を受けにくい状態にするというもの。

このシステムを使った方の2~3割ほどの方がウィッグも必要としないくらい軽度な脱毛だったりと脱毛に対する高い有効性をもつものです。

頭皮に薬が行かないと転移するのでは?

薬が頭皮に到達するのを防ぐことは「すなわち腫瘍細胞が頭皮に転移する可能性を上げるのでは?」とも思われるかもしれませんが、それはご安心ください。

なぜなら、

  • そもそも乳がんから頭皮にはめったに転移しない
  • 頭皮転移のリスクが使用の有無で変わらない

ということがすでに明らかになっているためです。

現在同様の治療機は日本でも承認されていて、基本保険適応外なのですが東京女子医科大学東医療センターなど一部無料で治療を受けられるケースも。

対応医院を調べることで「そもそも脱毛に悩む確率を下げられる」ため特に女性の場合では治療前には必ず確認しておきたい項目と言えるかもしれません。

リアップリジェンヌのデメリットは皆無ではない

ただし、ミノキシジルには使用によるデメリットもゼロではないため重要な部分はしっかり覚えておきましょう。

①高くて不便

リアップリジェンヌはどんなに安く買っても1本5,000円~とかなり高額です。しかも、1日2回塗らなければならないので思ったより面倒で薬の減りも早いです。

治療はそれなりに手間とお金がかかると思った方が良いでしょう。

②望まぬ発毛や脱毛

塗った場所から髪の毛が生えてくるということは、垂れたりすると顔から毛が生えてくることがあります。

また、使用初期は一気に髪の毛が抜けるため今まで以上の薄毛・脱毛が発生します。ただし、これは髪の毛が新しく生え変わっている効果の証で、後から抜けた分以上に生えてくるためこれはご安心ください。

③皮膚刺激になることがある

ミノキシジルには塗った部分の血行を良くする効果があるので、人によっては刺激、かゆみ、赤みを感じることがあります。

体質に合わない場合に無理に使っても逆に脱毛につながってしまうため、症状が出た場合は速やかに使用を中止しましょう。

最後にもう一言だけ…

このように、リアップリジェンヌに含まれるミノキシジルは発毛効果が高い反面デメリットもあります。

店頭でも購入できる便利な薬ではありますが、いずれにしても薬剤には違いないので治療開始前に医師に「ミノキシジルを使用して良いか」を事前に相談しておくと無難かもしれませんね。

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