
AGA治療をしている・これから始めようと思っている方は一度は聞いたことがあるであろう「フィナステリド」「デュタステリド」。
これらは男性ホルモンを抑えることで髪の毛の脱毛を防ぐ効果があるAGA治療薬です。
ここで気になるのが、男性ホルモンを抑えることで筋肉量や筋トレ効果も抑制されてしまうのでは?という点です。AGA治療もしたいけど筋肉も増やしたい…という方にとっては気になるポイントですよね。
今回は、AGA治療が筋肉や筋トレに与える影響について解説していきます!
そもそもAGAの原因とは
AGAとは、Androgenetic Alopeciaの略で、男性型脱毛症とも呼ばれます。
思春期以降に始まることが多く、前頭部と頭頂部の髪の毛が徐々に細く短くなり、その後生え際の後退や頭頂部の髪の毛が無くなる現象のことを指します。
AGAは、ジヒドロテストステロン(DHT)という男性ホルモンによって引き起こされることが確認されています。
DHTはテストステロンと5αリダクターゼという酵素の結合によって生じる悪玉ホルモンなのですが、これがヘアサイクルを成長期から退行期に移行させてしまいます。 ヘアサイクルが乱れることによって薄毛や脱毛が起こるというメカニズムです。
通常の成人男性であれば、成長期→退行期→休止期→成長期というサイクルを2~6年のスパンで繰り返すことで髪の毛が成長しますが、AGAの場合は数か月~1年で成長期が終わってしまいます。
フィナステリドやデュタステリドはDHTを強力に抑制することでヘアサイクルを正常化する働きがあります。
男性ホルモンが抑制されることで筋肉はつきにくくなるのか
男性ホルモンであるテストステロンは筋肉量と深い関わりがありますが、フィナステリドやデュタステリドは服用することでテストステロンを抑制し筋肉がつきにくくなってしまうのでしょうか?
結論から言うと、フィナステリドやデュタステリドなどのAGA治療薬を服用しても「筋肉がつきにくくなる」ということはありません。
その理由を詳しく見ていきましょう。
メカニズムと理由
フィナステリドやデュタステリドは、テストステロンがより強力なアンドロゲンであるDHTに変換されるのを阻害することで脱毛防止に効果を示します。
ここで作用するのはあくまでDHTでありテストステロンではありません。
「男性ホルモン全般=筋肉や骨を作る・体脂肪の代謝」
という役割のイメージが強いですが、これらに関わりが深いのはテストステロンでDHTは必ずしも必要というわけではないのです。
また、5α-還元酵素阻害薬はその名の通り5α-還元酵素(リダクターゼ)が多く存在している頭皮や前立腺、
男性生殖器といった場所に作用するので、筋肉や骨、脂肪の代謝に影響を与えることはありません。
AGAの発症においても、男性ホルモンそのものというよりは、5αリダクターゼの活性度や男性ホルモンレセプターの感受性のほうが大きく関係しています。
臨床試験によって、フィナステリドやデュタステリドといった5α-還元酵素阻害薬を投与した場合の血中DHT濃度は約90%低下するのに対し、血中テストステロン値は約20%増加することが分かっています。
作用機序は現時点では明確になっていませんが、むしろテストステロンは減少するどころか増加しているのが注目すべきポイントです。
- 5α-還元酵素(リダクターゼ)がある場所に限定的に作用する
- DHTは男性ホルモンだが、筋肉量の維持に必ずしも必要なホルモンではない
⇒フィナステリドやデュタステリドの服用によって筋肉が落ちる・つきにくくなることはない!
むしろ筋トレ効果がUPする可能性も。
フィナステリド・デュタステリドの働き
AGAへの効果が高くて、筋肉がつきにくくなることもないから安心!というわけではもちろんありません。
効果が強力な分、副作用やデメリットもありますのでよく理解して服用を始めることが大事です。
フィナステリド
フィナステリドといえば、脱毛を防ぐ効果が高いプロペシアが有名ですよね。
プロペシア(propecia) 1mg
世界で初めてのAGAによる脱毛防止効果がある薬プロペシアのジェネリック薬。
非常に高い技術力を誇るメルク・アンド・カンパニー(MSD)製品のため、初めての方でも安心して使用できます。
フィンペシア(finpecia) 1mg キノリンイエローフリー
月々1000円でAGA治療が可能に!
プロペシアと同じ有効成分を含有していますが、価格が抑えられていて非常にお手頃です。
インドのジェネリック薬製造大手シプラ社の製品です。
メリット
プロペシアは、世界で初めてのAGAによる脱毛防止に効果のある医薬品です。 AGA改善効果はなんと95%以上とかなり高いのが特徴です。
デメリット
フィナステリドは5α-還元酵素阻害薬でもタイプⅠに分類され、Ⅰ型は主に皮脂腺や皮膚、肝臓などに存在しています。
このことから、蕁麻疹や発疹、肝機能障害(AST上昇、ALT上昇、γ-GTP 上昇)の副作用が現れる場合もあります。
また、前立腺がんのリスクが高まるのもデメリットです。海外の臨床試験において、プラセボ群における前立腺がんの発現率が1.1%だったのに対し、フィナステリド5㎎群は1.8%と若干高めになっています。
デュタステリド
デュタステリドは、抜け毛を防ぐとともに発毛効果も期待できるザガーロやアボルブ、アボダートなどが人気でよく使われています。
前立腺肥大症の治療薬として聞いたことがある方もいるかもしれません。もとは前立腺肥大症の改善に使われていましたが、その過程でAGAの脱毛防止や発毛効果が見られたことからAGA治療として活用されるようになった薬です。
アボダート0.5mg(Avodart)
ザガーロ、アボルブと同量のデュタステリドを含有。
脱毛を防ぐだけでなくヘアサイクルを整え発毛も促進します。
イギリスの大手製薬会社グラクソスミスクライン社製の先発薬です。
デュプロスト0.5 mg(duprost)アボダートジェネリック
アボダートのジェネリック薬です。
脱毛の原因となる男性ホルモンの生成を抑えることで脱毛を防止し、ヘアサイクルを改善する効果が期待できます。
インド国内でトップ5に入るシプラ社の製品です。高品質でありながら先発薬よりもお手頃◎
デュタボルブ0.5mg(Dutavolve)
こちらはザガーロのジェネリック薬です。
国内のAGA診療ガイドラインにおいても有効成分デュタステリドの有用性が認められています。
イギリスの大手製薬会社グラクソスミスクライン社の製品です。
メリット
フィナステリドが5αリダクターゼⅠ型のみを阻害する一方、デュタステリドはタイプⅡに分類されⅠ型とⅡ型の両方阻害する作用があります。Ⅱ型は前立腺や男性生殖器、毛乳頭に存在しています。
また、フィナステリドの血清半減期(薬剤が血中に留まる時間)は6~8時間であるのに対し、デュタステリドは3~5週間とかなり長くなっています。
そのため、フィナステリドに比べ約1.6倍高いAGA改善効果があるとされています。
デメリット
デュタステリドで確認されているのは、中度・重度のAGAに対しての効果であり、効果が高い分副作用も出やすい場合もあります。
まずはフィナステリドから始めて効果が感じられなければデュタステリドに移行するのがおすすめです。
デュタステリドは血清半減期が長い分、服用中止から6か月間は献血が出来ないことがデメリットです。
また、デュタステリドも前立腺がんのリスクが高まることに注意が必要です。プラセボ群の前立腺がん発現率は0.5%だったのに対し、デュタステリドは1.0%という結果でした。
その他の男性機能への影響は?
AGA治療薬の副作用として、性欲の減退や勃起不全(ED)などを耳にしたことがあるかもしれません。
残念ながら、そのような性機能障害が報告されています。
ただし、そこまで発生率が高いというわけでもなく、ほとんどそのような副作用を感じることなく治療を続けている方もいます。
副作用 | フィナステリド | デュタステリド |
---|---|---|
リビドー(性欲)減退 | 0.21% | 0.08% |
勃起機能不全 | 0.11% | 0.42% |
射精障害 | 0.4% | 0.08% |
(※フィナステリド、デュタステリドともに使用成績調査に基づく副作用の出現率を参考にしています。
フィナステリドの射精障害については使用成績調査での発現が確認されていなかったため米国添付文書で報告されている数字を記載しています。)
性機能障害が起こるといっても、表に記載のとおり、発現率はかなり低く抑えられていますのでそこまで心配することはないでしょう。
また、精液への薬剤成分の移動も非常にわずかになっています。
AGA治療薬を服用しながら妊活を行っている・予定がある方は気になる点だと思いますので、こちらも合わせて読んでみてください⇒『AGA治療と両立可能?プロペシア(フィンペシア)の子作り・妊活への影響は』
まとめ
AGA治療薬であるフィナステリドやデュタステリドは服用しても筋肉がつきにくくなるということはありません。
筋トレとAGA治療を両立したいという方や筋肉量を減らしたくないという方でも安心して服用することができますので試してみてくださいね。