レクサプロは日本の抗うつ剤の中でも一番処方されている薬でトップの有効性と安全性を誇る便利な存在です。
…が、最近はネットでは突然死のリスクを気にする方が増えているようでこれを理由に服用を控える方もちらほら。
このレクサプロの突然死リスク、果たしてどの程度深刻なものなのでしょうか。
最も効果の高いSSRI・レクサプロ
レクサプロはSSRIと呼ばれる第3世代抗うつ薬の中でも、過去の抗うつ剤にはないメリットを多くもつ薬で
- 効果が現れるまでが早い
初期容量の10mgですでに治療効果があるので、他の薬のように慣らしつつ増やしていく必要がない - 効果は高く副作用が少ない
脳内の余計な場所に効かずうつの原因・セロトニン受容体に対してのみピンポイントに作用するので効果が高く副作用が少ない。 - 1日1回服用でOK
半減期が24~27時間と抗うつ剤としては非常に長く、1回の服用で1日中効果が持続。 - 離脱症状も少ない
1日かけてゆっくり抜けていく薬なので離脱症状も少ない。
など現在日本のうつ病治療では一番人気の定番としておなじみですね。
おそらく今ページをご覧いただいている方の中にも服用している・したことがあるという方がかなりいらっしゃるではないでしょうか。
午前中から無理なく外出できるようになりました。ユニクロで買い物もできるようになりました。
これがセロトニンの効果か!!
ただ寝付きが悪くなった気がします。
後不眠がひどいなら、その二つじゃ眠れないと思う。セカンドオピニオン考えても良いかも。
しかし、そんな便利な新薬である一方で最近ネットでは突然死のリスクも指摘されていて、これが気になって服用を避けている方も多いようです。
では、その突然死の危険性はどれほど高いのかと言うと…。
レクサプロの突然死リスク
結論から言うと、レクサプロの服用により突然死のリスクがあるのは本当です。
レクサプロは服用により心臓に疾患がない方でも心電図異常(QT時間延長)による突然死を引き起こすことがわかっていて、これは薬の説明書(インタビューフォーム)にも
また、重大な副作用として、痙攣、抗利尿ホルモン不適合分泌症候群(SIADH)、セロトニン症候群、QT延長、心室頻拍(torsades de pointesを含む)が報告されている。
と記載のあるとおりです。
ではこれがどのくらいの頻度で発生するのかと言うと…実は心電図異常自体が確率1%未満の非常にまれな副作用です。その上でさらに突然死となるとまれ中のまれな例で国内臨床試験でも確認されていません。
実はもともと不整脈などの心疾患がない限りは全く気にする必要がないものなんですね。
リスクを回避するためには
ということで、風邪薬を飲むときに死亡リスク(0%ではありません)を考える方がいないのと同じように、レクサプロ服用時の突然死リスクも基本的に気にするほどのものではありません。
しかし、もしどうしても気になるようであれば定期的に心電図検査を受けることで万が一QT延長が起きていた場合も対処が可能です。
お近くの循環器内科・循環器科などで1,000円程度(保険適応)で受診できますので、服用前に検討してみても良いでしょう。
それでもレクサプロは優秀な薬
脅すような内容が続きましたが、結局レクサプロが数あるSSRI/SNRIの中でもトップクラスの有効性と安全性を誇る優秀な薬であることに変わりはありません。
※レクサプロ=エスシタロプラム
そもそも、うつ病の薬はどんなに良い薬でも
うつ病の薬を使うと…
- 3割の方で改善が見られるも
- 4割の方は効果を実感できず
- 3割の方では症状が悪化する
お客様満足度は3割という世界なので良い意見より悪評の方が多くなってしまうのはどうしても仕方ないんですね。
自分に合う薬を探すのが最短距離
- SSRIかSNRIを使ってみる
- 効果がなければ増量してみる
- なお効果がなければ薬を変更
うつ病の治療は上記のような形で色々なパターンを試して自分の体に合う薬を探すのが寛解の最短距離とされていて、薬を試せば試すほどその割合が増えていくことがわかっています。
アメリカにおける大規模試験STAR*Dでは薬も4種類目ともなると寛解率が75%にも登ることが明らかになっていますし、もしまだレクサプロを試してないようであればぜひ一度服用してみても良いかもしれませんね。
その他の死亡リスクについて
ちなみに、レクサプロには突然死以外にも一応死亡リスクがあるので最後にこちらを紹介します。
これはレクサプロに限った話ではなく抗うつ薬全般に言えるものではありますが、みなさん気になっているであろう内容かと思いますので念のため解説してまいります。
希死念慮
抗うつ薬は特に若い方が初めて摂取したときに自殺に対する気持ち(希死念慮)が高まってしまうことがあります。
その他にも服用により色々な気分の変化をもたらすことがあるので、もし服用時に以下のような症状が悪化するor新しく現れるような場合は一度医師に相談した方が良いでしょう。
気分の落ち込み / 不安 / パニック / 発作 / 睡眠障害 / 衝動的になる / 過敏 / 興奮 / 敵対的・攻撃的になる / 落ち着かない / 精神的・肉体的に活発になる
過剰摂取
ラットにおける実験の致死量は500mg/kgとなっていて、これを単純に人間に当てはめてみると50kgなら20mg錠を1,250錠相当となりとても現実的な量ではありません。
海外における事例では1,000mgを超える過量投与(OD)で死亡例が報告されてはいますが、基本的には抗うつ剤で死ぬことはできずレクサプロは気持ち悪くなり嘔吐するだけです。
くれぐれも用法・用量は守ってご使用ください。
昨日ちょうどレクサプロ6錠飲んで吐き気で死にそうになってる人から相談来ましたよ。
今回紹介した医薬品一覧
レクサプロの突然死リスクのまとめ
レクサプロは正しく使えばうつの症状を効果的に抑えてくれる非常に優秀な薬ではあります。
しかし、万人にとって有効なものではなく使用して効果が得られる方は最大でも3割程度なので、もし体質に合わないと感じるようであれば早々に薬を切り替えてしまいましょう。
特にSSRIはプロザックやザイバンなど日本未承認の薬も多くありますので、色々な薬を試していけばきっと体質に合う薬が見つかるはずです。
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投稿者:ラククル管理人
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